〜 前期型 〜
スカイラインが8代目としてフルモデルチェンジし、16年ぶりに復活したGT-Rがこのタイプである。
直列6気筒DOHC24バルブ、ツインターボで280馬力を出力するエンジン。電子制御で前輪:後輪のトルクを0:100〜50:50まで可変させるトルクスプリット4WD ATTESA E-TS。さらに4輪操舵システムのSUPER HICAS。4輪マルチリンクサスペンションなど日産の最新技術を投入し、グループAで勝つために開発された車である。
保安基準改正前だったため、後に登場するニスモの1400kgに次いで軽い1430kgであるため、いまだに一部のスポーツ走行重視派のユーザの間で人気がある。
〜 ニスモ 〜
グループAレースに参加するための車両公認を取得を目的とし、実際に生産された台数は560台であるが、そのうちの60台はレースで使用されたため、500台限定で販売されたモデルである。生産数が少ないことから、抽選になるほどの人気となった。
外見での大きな変更点はバンパーに2つのダクトを設けたこと、インタークーラーグリル(金網)の廃止、小型のリアスポイラーやフードトップモールなどのエアロパーツを追加、あとは軽量化のためにリアワイパーが省略された。また、軽量化ということでレースに必要ないエアコンやオーディオ、ABSも取り外されている。
エンジンに関してはレースでの耐久性を考慮し、タービンの材質をセラミックからメタルに変更している。基本的な仕様はセラミックのものと同じだが、A/Rをやや高速走行向けのものに変更するなど、細かなリファインを施してある。
〔主な変更点〕
・ターボチャージャーのタービンホイール材質をセラミックからメタルに変更
・フロントバンパーにエアインテークダクト2個を追加
・ボンネットにフードトップモールを追加
・インタークーラーグリルの廃止
・サイドシルプロテクターの変更
・小型リアスポイラーの追加
・リアワイパーの廃止
・ABSの廃止
・アクティブアメニティシステムの廃止
〜 N1 〜
1991年から始まったN1耐久シリーズの参加者向けに設定されたモデルである。もともとN1レースとは、量産ツーリングカー(連続した12ヶ月間に5000台以上生産された市販車)としてJAFに公認された車両およびJAF登録車両で行うレースである。
軽量化、耐久性向上などの対策はニスモと同様の手法で行なったほか、耐久性の面で不安があったブレーキローターのピンホールを廃止(クラック対策)し、ブレーキ冷却用の導風板が追加された。
〔主な変更点〕
・ターボチャージャーのタービンホイール材質をセラミックからメタルに変更
・フロントバンパーにエアインテークダクト2個を追加
・ボンネットにフードトップモールを追加
・インタークーラーグリルの廃止
・ブレーキ冷却用導風板を追加
・ブレーキローターのピンホールを廃止
・リアワイパーの廃止
・ABSの廃止
・アクティブアメニティシステムの廃止
・ヘッドライトをプロジェクター式から異形2灯式に変更
・ボディカラーは専用色のクリスタルホワイト(326)のみ
〜 中期型 〜
保安基準改正に伴い安全面の見直しが行われた。GT-Rを含むスカイライン全車に行われ、サイドドアビーム、転倒時の燃料流出を防ぐロールオーバーバルブ、シートベルト警告灯などの追加装備が主であった。
ヘッドライトのプロジェクターレンズが大型化され、バルブがH3からH1に変更された。インテリアにも、センターコンソールのクラスターリッドがシボ加工品になったり、4WAS警告灯の表示が 『ANTI-LOCK』 から 『ABS』 に変更されたりと、若干の変更が加えられている。
BNR32を前期/後期で分けた場合、このマイナーチェンジ以降を後期型とする場合が多い。
〔主な変更点〕
・サイドドアビームの追加
・シートベルト警告灯の追加
・ロールオーバーバルブの追加
・ヘッドライトのプロジェクターレンズ大型化
・ヘッドライトのバルブをH1に変更
・センターコンソールのクラスターリッドをシボ加工品に変更
・4WAS警告灯の表示を 『ANTI-LOCK』 から 『ABS』 に変更
・衝撃吸収ステアリングパッドの採用
・室内難燃化材料の採用
・ロールオーバーバルブの採用
・運転席SRSエアバッグをオプション設定
・ボディカラーにスパークシルバーメタリック(KL0)、グレイッシュブルーパール(BL0)を追加
・ボディカラーでクリスタルホワイト(326)をGT-Rでも選択可能にした
・ボディカラーからジェットシルバーメタリック(KG1)を廃止
〜 後期型 〜
このマイナーチェンジは、主にクラッチの構造が見直された。ブースター付きの油圧作動は共通だが、動作方式を今までのプッシュ式からプル式へと変更、それに伴いクラッチカバーの取り付け荷重も750kgから850kgへと強化され、クラッチペダルの操作性や確実性が向上している。併せてトランスミッションのシンクロメッシュにも改良が施され、トランスミッションの耐久性、操作性も改善した。特に3速、4速ギアのシンクロ機構の信頼性が上がっている。
また、94年の一部モデルから、リヤデフのカバーがフィン付きで放熱性の高いものから、ローレルと同様の丸型へと、コストダウンが目的と思われる変更があった。
ボディカラーは、ダークブルーパール(TH1)とグレイッシュブルーパール(BL0)の2色が廃止され、全5色となった。
〔主な変更点〕
・クラッチ構造をプッシュ式からプル式に変更
・トランスミッションのシンクロメッシュ機構を改良
・94年モデル途中からリアデフカバー形状を変更
・ボディカラーからダークブルーパール(TH1)とグレイッシュブルーパール(BL0)を廃止
〜 Vスペック 〜
グループAレース3年連続優勝を記念して設定されたモデルである。
最大の変更点は足回りであり、17インチのBBS製軽量ホイール(17×8JJ)に225/50R17サイズのタイヤ(ポテンザRE010)が装着された。またストッピングパワー不足が指摘されていたGT-Rだが、ホイールのサイズアップにより、大型のブレンボ製のアルミ対向4ピストンブレーキキャリパーとローターを装備することができた。
タイヤの変更により、ATTESA E-TSにも最適化が図られ、アンダーステアを低減させることに成功した。タイヤの外形が大きくなったため、全高は15mm高い1355mmとなり、地上最低高も5mm増えた140mmとなった。
〔主な変更点〕
・ブレンボ社製ブレーキキャリパー及びローターの採用
・BBS製17インチアルミホイールの採用
・225/50R17サイズのタイヤを採用
・ATTESA E-TSの最適化
〜 VスペックU 〜
Vスペックに続き、グループAレース4年連続優勝を記念して設定されたモデルである。
変更点は、40/45タイヤが認可されたことによるタイヤサイズの変更のみであり、Vスペックの225/50R17サイズから245/45ZR17サイズへと変わった。
タイヤサイズがアップされたことで、コーナーリングスピードが上がり、また、GT-Rの強力なパワーを路面に伝えることも可能となった。
〔主な変更点〕
・245/45R17サイズのタイヤを採用
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